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社会教育事業

令和5年度結果報告

高校生世代チャレンジプログラム

10月29日(日)から2月18日(日)のほぼ毎週日曜日、高校生世代またはそれに準じる年齢の個人又は団体を対象に、『2030年にむけて「いま」きみができること』をテーマに「持続可能な開発目標」「Sustainable Development Goals」SDGsの達成を目指す国際目標の2030年にむけて、未来を担う高校生世代が「いま」互いを認め合い、未来につなげるために、ベストを尽くしてできることは何か、何をすべきなのかを考えてイベントなどを企画し、活動計画や資金計画を作成し、自ら実施までの一連の取組を全て行う社会的起業(ソーシャルビジネス)体験プログラムを、高校生の8のチームが次のような課題に分かれて活動を実施しました。

Queendamチームは、4つのテーマで哲学対話を行いました。
高校生メンバーが「学校以外のコミュニティが不足している」と感じた経験から、普段関わりを持っている仲間とは異なる「新しい視点」に触れることの重要性を感じました。
本実施では、単に新しい視点に触れる場を提供するだけでなく、「新しい視点を持ち、それを伝える」ために、「哲学対話」を行うことにしました。哲学対話には、「相手の意見を否定しない」「わからなくなってもいい」などといったルールがあることから、参加者から意見が出なくなるといった場面が想定され、ファシリテーションが企画進行上の、一番準備を必要とするポイントになりました。この企画で哲学対話を扱うまでは、Queendamメンバーも哲学対話を行った経験がなく、メンバー自身にとっても新たな視点を得る経験となりました。
当日は、参加者アンケートから「新たな視点を得ることができた」という声が多くあり、達成感を感じることが出来ました。

Queendamチーム

JK+チームは、海洋プラスチック問題の解決に向けて活動。
この問題はかなり深刻で、太平洋ゴミベルトと呼ばれる海の中でゴミが溜まる場所には、少なくともフランスの国土面積の3倍ものゴミがあると言われています。また、90%もの海鳥がプラスチックを食べてしまっています。これは生態系の破壊を生み、人間の健康被害を引き起こします。
そこで今回、『日常が魅力的な学びの場になる』をコンセプトにイベントで海洋プラスチックゴミから作った可愛いアクセサリーを販売し、可愛いアクセサリーから海洋プラスチック問題を学ぶ場所を提供しました。

JK+チーム

まきしまむチームは、規格外野菜廃棄量削減を目指してearthgardenでハンドメイドの野菜イヤリングとピアス、野菜シートの販売を行いました。
形や色などの要因から廃棄されてしまうことの多い規格外野菜ですが、味や品質は変わらないと言われています。しかし、安い価格で売買されることの多い規格外野菜が、市場に出回らずに廃棄されてしまう理由として、「正規品の価格が相対的に下がり売れなくなってしまう」ということが挙げられます。
そこで、安い以外の新しい価値を見つけることでまた適切な価格での規格外野菜の販売が促せると考え、規格外野菜をアクセサリーにし販売しました。

まきしまむチーム

コセイチームは、「人との繋がりを大切に、個性を認め合える社会へ」を目標に活動し、自分の魅力を見つけてもらうための活動を実施しました。
日本の学校教育では集団行動が主となっており、個々が各々の魅力で輝きにくいという状況があります。少しでも子供たちにとって過ごしやすく改善するため、小学校4~6年生を対象とし、AIを駆使しキャラクターの作成と自分の魅力を見つけるためのワークブックを解き進める活動を実施しました。

コセイチーム

古米teensチームは、古米を使用したお菓子を自ら製造し、その販売を1週間行いました。
「古米」とは、1年以上前に収穫されたお米のことで、現在、日本ではお米の消費量が減り、古米を含むお米の余剰が問題になっています。さらに、現在小麦の主な輸出国であるロシア-ウクライナの戦争により、小麦を輸入に頼っている日本は小麦の供給不足の大きな打撃を受けている状況にあります。
そこで、「米の余剰問題」と「小麦不足」の2点を課題とし、企画を行いました。これらの課題を解決するために、自分たちで古米の調達から製造を行い、古米の米粉で作ったスコーンとスノーボールを1週販売しました。

古米teensチーム

team Salvationチームは、子ども食堂に通う人間関係に悩む子どもたちに、「交流の輪を広げて、新しい価値観に出会う」ことを理念に、お正月遊びイベントを開催しました。
子ども食堂は、貧困家庭や孤食の子どもが利用できる、無料、または安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する場ですが、場所やメンバーが固定されており、新たな環境・人間関係を築く機会が少ないという課題あります。また近年は電子機器に時間を費やす子どもが増え、お正月遊びを体験する機会が少なくなっていることから、「お正月遊び」という形で人との交流の場を作ることで企画を行いました。

team Salvationチーム

燃える高校チームは、現代の環境問題の中でも服の廃棄量が多い ということに着目し、服の廃棄問題の状況を伝える ワークショップや今後も活用できるエコバッグや 小物入れのリメイクレクチャーを行いました。
服における廃棄問題として、現在世界で生産されている服の中で6割以上ものリユースや リサイクルをしていない服が廃棄されてしまっている現状があります。
こうした状況を改善するために、学校やイベントで服の回収活動を行い、回収した服を企業に買い取ってもらう活動や服のリメイクワークイベントを実施しました。

燃える高校チーム

Re-asterチームは、SNSを活用して災害時関する知識を発信しました。
災害弱者を助けたいという考えを持った出会った高校生4人が、SNSでの災害についてnoteやInstagramを通じて、災害の基本知識だけではなく、本当に緊急時に必要になると考えた内容を無料で配信しました。

Re-asterチーム

そして、2月 18日(日)活動報告会を行いました。8のグループが活動内容を発表し審査いたしました。
大賞の審査員には、米田瑠美氏(認定NPO法人カタリバ 職員/文京区青少年プラザb-lab 館長)・川村研治氏(元ESD活動支援センター兼公益財団法人日本環境協会参与)・斎藤史貴氏(東京証券取引所・大阪取引所 金融リテラシーサポート部 課長)・土屋佳子氏(東京都教育庁地域教育支援部生涯学習課長代理)の4名があたり、「企画力」「創造力」「社会参画・社会貢献力」「コミュニケーション力」「プレゼンテーション」の5つの項目で審査を行いました。
金賞は、講師であるCuriosityのメンバーと当館の担当者が、過程を重視し「目的及びテーマに沿って各グループが設定したターゲットに対して社会的貢献度が高い企画を立案していたか?」「プロジェクトの計画は効果的、効率的に運用できていたか」「各メンバーからほとばしる熱い情熱を感じたか」「困難に直面しても前向きな思考で問題解決に取り組んでいたか」「プレゼンテーション」の5つの項目で審査を行いました。
来場者賞は、来場者が、目的及びテーマに照らして来場者の主観で審査を行いました。

厳正なる審査の結果、大賞は古米菓子製造販売の「古米teens」グループ、金賞は個性を認め合える社会をの「コセイ」、来場者賞は哲学対話の「Queendam」が受賞しました。